インドの決済インフラ
インドの小口決済インフラが最近話題となっているそうです。インド政府が関係組織が運用しているUPIと呼ばれる、モバイルを活用した小口の決済ネットワークで、インドでは2016年の導入により一気にキャッシュレス化が進んでいるそうです。
このUPIはインドだけでなく、シンガポールとも接続されることが昨年アナウンスされており、今後東南アジアにも拡大していく可能性があるとのことです。
日本の決済インフラと比べて圧倒的に異なるのはそのコストです。UPIを経由して行われる決済は無料となっているそうです。
日本の高い決済インフラと異なり完全無料で提供されているということで、どこに収益モデルがあるのか疑問になるかと思います。(なお私もこの点は疑問でしたので、レクチャー頂いた方に伺いました)
UPIの収益モデルは、データ活用であり、より具体的には広告となっているそうです。データを活用して収益モデルを広告にするというのは、日本でも可能ではないかという議論をしており、日本のフィンテック業界でも決済は人気のテーマで高い決済コストを下げるという議論はされておりますが、その収益モデルを異なる形にしていこうという議論はされていない印象です。

インドの決済技術は実は、日本にも展開されており、Paypayで使われているのはインドのデカコーン企業でああるPaytmの技術を使っていることで有名です。
Paytmの収益モデルが、UPIを活用した決済ではなく広告のモデルということになるかと思いますが、収益モデルを変えることで決済データを活用したユニコーン企業が産まれるという事例があるのが世界のフィンテック(決済)の潮流のようです。
私の知る範囲ではPaypayは相変わらず決済で稼ごうとしている印象ですので、日本ではPaytmのようなモデルの実現には何か障害があるのかもしれません。
その障害の1つが日本の決済インフラが高い、つまりUPIのようなインフラが存在しないことにあるのかもしれないと想像しております。
決済インフラには最高レベルの暗号やインフラとしての投資が必要だと思いますので、日本もインドのように国レベルで進めないと難しいテーマだと考えております。
古い日銀ネットが課題であり、新しい決済インフラ開発プロジェクト(どちらかといえば、民間)は既に始動しているかと思いますが、日本政府にもインドのような事例は参考になるのではないかと思います。
藤井秀樹
株式会社クロス・デジタル・イノベーション 最高経営責任者CEO