スマートコントラクトの議論≒デジタルカレンシーの議論
スマートコントラクトの普及を目指して昨年から活動しておりますが、本日は改めてその魅力とチャレンジについて触れてみたいと思います。論点とは3つあります。
1)KYC/AML (つまり誰が本人か?)
2)Oracle (つまり事実とは?)
3)Governance (つまり、誰が決めるの?)
3つとも奥が深く、結局はこれまでのインターネットの技術では解決が困難でしたが、ブロックチェーンの登場によりその可能性が見えてきたということになります。
ブロックチェーン以前の技術における課題として、インターネットの世界では改竄が簡単でしたので、デジタル空間では誰が本人かを特定するのが難しいです。そもそも不正を働く人々が、多数存在するリスクを否定できないため、どこまでリスクをコントロールするのかがチャレンジです。
KYC/AMLと呼ばれるこのテーマは、金融機関ではものすごいコストをかけて行っております、なお100%を目指すことになっておりますが、100%はありえないのではないかと考えております。
スマートコントラクトの文脈では、私としては、ペイロールカードのなどの仕組みが社会に普及することでデジタルID(つまりKYC/AMLずみ)が比較的普及して、低コストになるメリットの可能性に惹かれております。
Oracleというと、データベースで有名なアメリカ企業と誤解される場合がありますが、神託の意味で、ブロックチェーンの世界で話題となる、それが事実かどうかをどうやって見極めるのかという論点を指しております。
保険業界の例では、いつも問題になるのは詐欺が混ざるので、その保険事故は本当に存在したのか確認することです。Oracleの概念を保険業界で実現できると、契約者は保険金を即座に受けることができる可能性がでてきます。業界にいた私としてはこの難易度は相当高いとは思いますが、この未来に挑戦していきたいと思います。
最後にGovernanceですが、
結局、判断を下すのは中央集権で行くのか?
分権化で行くのかという議論です。
なお、現在の法人組織だと、一般的には最も権限を持つ社長が最終判断している形で、実際には各個人レベル担当者の判断に委ねられているイメージとなります。(厳密には取締役会や株主総会が存在していますが、実質は社長が決めているということになると思います。)
それに対して、分権化だと投票するイメージなので、民主主義的なイメージとなります。
電気代を使いすぎるということで、ビットコインのガバナンスモデルである
PoW= Proof of Work
は批判されていますが、中央集権を否定した初めての大規模な世界的な実例ということでその貢献はすごいと思います。(SDGs的にはアウトなので、そのうちに、電気代を使わない方法に変わると想定しております)
スマートコントラクトの議論≒デジタルカレンシーの議論
とも言えるため、研究すると同時に社会実装を目指していきたいと思います。
藤井秀樹
株式会社クロス・デジタル・イノベーション 最高経営責任者CEO